落下試験と振動試験

落下試験の方法

落下試験の方法には、貨物全体を完全に空中に浮かせてから落下させる方式(自由落下)と、貨物の一端を支持台の上に載せ、他端を落下させる方式(片支持落下)、及び、衝撃試験装置を使用して行う方法の3種類が規定されている。大型の貨物については片支持落下試験が実施される。

落下試験装置としては、比較的大型の貨物についてはフックを用いて貨物を吊り下げ、ソレノイドなどの電磁式機構でフックから貨物を切り離して落下させる方式の、所謂フック式落下試験装置が使用されている。

片支持稜落下試験は、対象となる貨物が重量品であるため、荷役の方法としては機械荷役が想定されており、落下方向としては底つま稜に限定されている。落下高さは、このケースの場合、海外に出荷する為レベルⅠと想定し、質量70kgの為50cmである。

また、前処置としては、外枠がプラスチック製の構造体の為、非常に低温にさらされる場合、外枠が欠けたり、白化を起こしたりして商品価値を損なう場合があるため、包装の保護性確認のために-10℃とか-20℃で前処理を行うことも必要である。逆に夏季に倉庫内で保管していたプラスチック製品が、高温のため軟化して変形異常を生じた例もあり、50℃程度の環境下で前処置を行った後、包装品の保管試験を行う場合もある。


振動試験の方法

振動試験の方法としては、ランダム加振試験があり、ランダム制御装置を用いてパワースペクトル密度(PSD)で規定された振動を加える方法が主体となっている。

ランダム加振試験には、一般のランダム加振試験の他、ショック・オン・ランダム加振といわれる、ランダム試験の波形に正弦波波形を重畳させた波形で加振する、サイン・オン・ランダム試験がある。

いずれにせよ、ランダム加振試験は、実際の輸送中の荷台振動と殆ど等価な振動を製品に加える試験であるため、試験室レベルでの振動試験として最適な方法である。

また、JISでは包装品の振動試験の方法の一つとして、段積み加振試験が規定されている。トラックなどで輸送されている間は、荷台振動により動的な圧縮荷重が加わることや、多段積みされた包装品は複合バネで支持された状況となるため、複数の共振点を持つことになり、外部振動が加わると複雑な動きを繰り返すことから包装品の振動試験は多段積み加振試験を行うべきである。

振動試験装置については、電磁油圧式、又は電磁式の振動試験装置とすべきである。